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ジェイソン村 1 新潟ジェイソン村

ジェイソン村[じぇいそんむら]

アメリカからやってきた殺人鬼がホッケーマスクを被り、村人を殺戮した廃村があるという怪異。

(中略)

秋田県茨城県、神奈川県、群馬県熊本県などにあるという不可思議な村にまつわる都市伝説。

 

――朝里樹  『日本現代怪異事典』 笠間書院 2018 p.182

  

私が「ジェイソン村」の存在を知ったのは、上に引用した『日本現代怪異事典』を読んだ2018年だった。

寡聞にして知らなかったが、インターネットで検索してみたところ有名な怪談だということがわかった。

しかし、出てきた情報を見てもその実態がつかみづらい。

複数のジェイソン村が存在するため、それぞれの話が入り乱れているからではないかと思う。

気になったので調査してみた。まず取り上げるのは、新潟県のジェイソン村である。

 

 

●新潟の心霊スポット「ホワイトハウス

 

新潟ジェイソン村の話は、新潟県にある白い洋館、通称「ホワイトハウス」から始まる。

地元では有名な心霊スポットで、「特命リサーチ200X」や「トゥナイト2」のようなテレビ番組で紹介されたこともあるという。

 

このホワイトハウスについての噂を簡単にまとめると、

 

ある時この洋館に、東京に住む外交官の一家が引っ越してきた。一家は、外交官とその妻、娘一人、息子一人の4人家族。

外交官の娘は解離性人格障害を患っており、新潟に越してきたのは、彼女を幽閉することが目的だった。

彼女の人格の一つである中年男性の人格は非常に凶暴であり、この人格が表に出ている時には、彼女は家族に暴力をふるっていたという。

ある時、この人格が現れている時に娘は父親の猟銃を手にし、家族全員を殺害した。

参考:廃墟伝説

 

これがホワイトハウスについて現在いちばん広く流布している噂である。

ホワイトハウスの噂については、『現代怪奇解体新書』(別冊宝島415)で赤福すずか氏が調査しまとめている。

赤福氏は実際にホワイトハウスを訪れ、現地の人々に取材して噂を聞いた。

その内容は人それぞれで、様々なバリエーションがあったことが書かれている。

上記の噂に近い内容で相違するものを以下に列記する。

 

・親の仕事は医者だった。

・精神を患っていたのは娘でなく息子だった。

・家族を殺害するのに使われたのは斧だった。

・家政婦もしくは母親は逃げ出して電話ボックスまでたどり着いたが、警察への通報中に殺された。

 

採取された噂の中には「住民が代々自殺している」というような、外交官一家の話とは関係なさそうなものもある。

 

5ちゃんねるの「新潟の心霊スポット」という一連のスレッドによると、ホワイトハウスは70年代なかばに空き家になり、70年代後半にはここを幽霊屋敷とする噂がすでにあったようだ。

 

 

 

ホワイトハウスからジェイソン村へ

 

ホワイトハウスで家族を惨殺した少女は、家を出て近くの集落に行き、その集落の住人を次々に惨殺したと言われる。

この集落が、「ジェイソン村」と呼ばれているところだ。

 

前段でふれた『現代怪奇解体新書』が出版されたのは1998年。

この記事には、ジェイソン村に関する記述はない。家族を殺害した娘のその後は「行方不明」とする噂が多かったようだ。

この頃には、ホワイトハウスの話はそれだけで完結していて、ジェイソン村の噂はなかったことが推測される。

 

ジェイソン村の噂がいつからささやかれるようになったのかを確認するため、まちBBSと5ちゃんねるに立てられた新潟の心霊スポットに関するスレッドを、古い方から調べてみた。

 

ホワイトハウスに関する話は多く書き込まれており、確認した中で最古のスレッド「北陸甲信越の心霊スポット」(スレッドが立ったのは2001年4月22日)でも言及がある。

しかし、ジェイソン村の名称はなかなか見つからない。

やっと見つかったのは、5ちゃんねるのスレッド「新潟県の心霊スッポチその11」 (スレッドが立ったのは2006年08月29日)のレス番号162だ。

 

162 :本当にあった怖い名無し:2006/09/28(木) 23:02:30 ID:8N1hA1WgO

ところで、ジェイソン村ってどこにでもあるんだね

 

このスレッドでのジェイソン村への言及はこれのみ。

このレスに対するレスポンスもない。

 

その次のスレッド「【笹団子】新潟県の心霊スッポトその12【マンゲボボ】」(スレッドが立てられたのは2007年1月27日)には、以下のようなレスがある。

 

716 :本当にあった怖い名無し:2007/05/08(火) 20:32:11 id:b0631uD/0

>>714
そのサイトみたけど・・・

シーサイドラインは心霊スポットが複数存在します。ホワイトハウス、二つ目のホワイトハウ
>ス、日蓮、ジェイソン村、赤屋根の館、灯台、トンネル、トイレ、赤い橋、赤い家、青い家、間
>瀬隧道、だいろ坂、自殺電波塔、ブラックハウス、精神廃病院、真ホワイトハウス、海の家
>廃墟、間瀬海岸廃旅館、多宝山中腹の白い家、弥彦廃ホテル、観音寺温泉廃旅館、野積
>の空き家…などこの辺りに心霊スポットが集中しているんです。

何時の間にこんなにスポットが増えたんだろう? 誰か具体的に分かる人います?
赤屋根の館と赤い家って違うの?
自殺電波塔とブラックハウスって違うの?
廃旅館、廃ホテルは皆心霊スポットか?

  

レス番号714にリンクがあるサイトは、「恐怖神霊の館」というウェブサイト。

訪問者が心霊スポットを書き込む地域別の掲示板があり、ここの「新潟スポット」という掲示板にレス番号716で言及されている書き込みがある。

 

■[シュウ]
[シーサイドライン] Delete
シーサイドラインは心霊スポットが複数存在します。ホワイトハウス、二つ目のホワイトハウス日蓮、ジェイソン村、赤屋根の館、灯台、トンネル、トイレ、赤い橋、赤い家、青い家、間瀬隧道、だいろ坂、自殺電波塔、ブラックハウス、精神廃病院、真ホワイトハウス、海の家廃墟、間瀬海岸廃旅館、多宝山中腹の白い家、弥彦廃ホテル、観音寺温泉廃旅館、野積の空き家…などこの辺りに心霊スポットが集中しているんです。
2007/04/05(木)00:16

 

その後、この書き込みにレスポンスが付き、追加情報が書き込まれている。

 

■[にゃんこ]
[Re:シーサイドライン] Delete
シュウさんへ

色々と情報をお持ちのようで、素晴らしいです。
>ジェイソン村
灯台
>トイレ
>赤い家、青い家
>だいろ坂
>精神廃病院
>海の家廃墟
>多宝山中腹の白い家、

について教えてもらえませんか? 他の方の情報も待ってます。詳細が分かったら探索してみたいもので。

2007/05/08(火)20:28

■[シュウ]
[にゃんこさんへ] Delete
ジェイソン村は角田浜のすぐ近くにあります。シーサイドを越前浜方面から五ケ浜方面に向かう途中左側に、廃墟になった民宿とキャンプ場があります。ボロボロになったバンガローの廃墟や、廃トイレ、廃車バスなど多数廃墟があります。ホワイトハウスからかなり近い場所にあります。以前行った時写真を何枚か撮ったら、女の顔が写った心霊写真も撮れました。
それと灯台下のトンネルでは以前焼身自殺があったそうです。角田岬は自殺の名所としても有名です。
シーサイドのトイレはいずれも霊が出るんですが、角田浜、浦浜駐車場、間瀬駐車場、田ノ浦駐車場の古いトイレ、野積浜駐車場、スカイラインだいろ坂の廃トイレ、弥彦山頂の廃トイレなど、ほとんどのトイレに幽霊話が絶えません。
海の家の廃墟は、シーサイドを寺泊方面に向かってトンネルを抜けると左側に2軒白い廃墟があったんですが、最近になって改装されて新しくなってました。その海の家の敷地内には地蔵があり、下には浜に続くガード下トンネルがありました。夜中に行った時はかなり薄気味悪かったです。
2007/05/12(土)10:11

  

位置的に、ホワイトハウスの噂とつなげて語られているジェイソン村と同一のもののようだ。

この書き込みがされた2007年には、ジェイソン村の噂が生まれていたことが伺える。

 

5ちゃんねるの「新潟の心霊スポット」という一連のスレッドは、2014年7月5日に立った「【笹団子】新潟の心霊スポット27【もも太郎】」まで確認したが、上記の書き込み以後にもジェイソン村に関する書き込みはほとんどなく、拍子抜けした。

ホワイトハウスに関する書き込みはその後もあるが、ホワイトハウスが幽霊屋敷であることを否定する内容も多く、地元住人の間では「新潟ジェイソン村」に関する一連の噂はあまり盛り上がっていないのではと思わされる様子だった。

 

神奈川県の相模湖ジェイソン村と茨城県つくば市のジェイソン村について調べたところ、2000年代初頭にはすでにインターネットや雑誌での言及がそれなりにあり、新潟県のジェイソン村に関する噂と性質が異なるように思われる。

ここからは推測だが、

相模湖とつくば市のジェイソン村は、心霊スポットとしての噂が流れ始めた当初から「ジェイソン村」という名称で呼ばれていたのではないか。

一方、新潟ジェイソン村は、日本各地のジェイソン村の話題が盛り上がったときに「ジェイソン村」の一つであるとされたが、もっと古くから別の名称といわれをもつ心霊スポットとして地元住人の間で知られており、地元ではジェイソン村という名称がなじまなかった。

というような違いがあるのではないだろうか。

 

 

 ●少女のその後と、幽霊屋敷の現実

 

新潟ジェイソン村の話は、集落での惨殺の後にも続きがある。

集落の人々を皆殺しにしたあと、少女は自殺電波塔という無線中継所で首吊り自殺をしたというものだ。

 

この自殺電波塔は「ブラックハウス」とも通称され、ホワイトハウスと同様に地元では心霊スポットとして語られ続けている場所だ。

首吊り自殺が多く起きているという噂がある。

 

ややこしいのだが、この自殺電波塔は、以前はホワイトハウスと呼ばれていたという話もある。

元はホワイトハウスと呼ばれていたが、少女が家族を殺害したというホワイトハウスの話が広まったため、そちらと区別するためにブラックハウスと呼ばれるようになったという。

ホワイトハウスには、よくホワイトハウスと呼ばれているのとは違う「真ホワイトハウス」という本物の幽霊屋敷があるという噂もあるため、この真ホワイトハウスと自殺電波塔/ブラックハウスが混同されたこともあったようだ。

 

名称についてはさておき、「新潟の心霊スポット」にあるホワイトハウスは幽霊屋敷などではないとする書き込みでは、所有者は県内の別の土地に住んでおり、ホワイトハウスは単に壊すのが手間で放置されているという内容がよく見られた。

面白いのが、『財界にいがた』という雑誌に載ったというホワイトハウスの記事についての話だ。

その中には、ホワイトハウスの近隣住人へのインタビューがあるという。

それによると、家出した少年がホワイトハウスに住み着いたことがあって、その姿が目撃され、無人のはずの屋敷に人の姿が見えたことから幽霊話が広まったのではないかということだ。

『財界にいがた』の現物にあたって確認することはできなかったが、この話は複数の人物がそれぞれに書き込んでいるため、ある程度信頼できるのではないかと思う。

 

また前述した別冊宝島赤福すずか氏による記事には、なぜホワイトハウスが幽霊屋敷とされるようになったのかについて、詳しく調査した結果が書かれている。

ホワイトハウスの近くで、精神病院の患者が療養のためキャンプに来たことがあったため、そのことが歪められて伝わったのではないかということ。

またホワイトハウスの周辺地域で過去に起きた事件を調べたところ、「男性が斧で娘を殺害した」「精神病患者が脱走した」「男性が義母と妻を刺殺した」というような事件があり、ホワイトハウスの噂が伝承される中でこういった要素が噂に反映されていったのではないかという考察がなされており、納得できる内容である。

こちらは聞き取り調査も事件の調査も充実している面白い記事なので、興味がある方はぜひ一読されたい。

 

関東のジェイソン村の記事へ

 

 

参考

赤福すずか「30年間放置された廃墟/新潟「ホワイトハウス」の謎」(『現代怪奇解体新書』(別冊宝島415) 宝島社 1998 p.80-89)

朝里樹『日本現代怪異事典』 笠間書院 2018

 ↑戦後の話から現代のネット怪談等まで、1000種類以上の怪異を収録した力作です。おすすめ。

有栖川礼音「謎多き”ジェイソン村”」(『知られざる 怖い!怪奇村の話』 日本文芸社 2009 p.46-51)

北野誠北野誠の実話怪談 おまえら行くな。 死導編』 竹書房 2011

 

恐怖神霊の館

西蒲原怪奇研究所

廃墟伝説

 

新潟県の心霊スポット

【笹団子】新潟の心霊スポット27【もも太郎】

 ※2003年から2014年まで連続して立てられたスレッドです。全部載せると長くなるため、間を省略して最初のスレッドと最後のスレッドのみここに載せます。

新潟の心霊スポット・パート2 ※インターネットアーカイブで閲覧

北陸甲信越の心霊スポット